「Beautiful Code」の3分の2にあたる22章まで読了しましたので、2回目の中間ふりかえりです(1回目の中間ふりかえり)。
なかなか毎日Twitterで呟くことはできていませんが、呟いていない日でも少しずつ読み進めていることもあります。そのままだと呟くポイントを見失ってしまいがちですが、別途メモしておくのも読書が断続的になり、効率が落ちてしまいます。そこで、今回はブックダーツを使用してみました。
左の写真は「第22章 スプーン一杯の汚水で」の「境界条件」云々の箇所。
右の写真は本の小口(こぐち)です。
第12章 BioPerlにおける美しいコードの成長
ライブラリの設計では、そのクラスや関数がどのように使われるかの(疑似)コードを書いてみながらブラッシュアップしていく。クラス(群)レベルのユースケースシナリオと考えると良いかも。
ライブラリは、初心者がすぐに使え、中級者が簡単にカスタマイズでき、上級者が簡単に拡張できる、というのが理想。Perlのコードリファレンス値(コールバック関数オブジェクト)でライブラリを拡張可能にしている。
第13章 遺伝子ソータの設計
遺伝子解析関連のお話が続きますね。小さなプログラムの構造はアルゴリズムやマシンの都合で決めて良いが、大きなプログラムの構造は人間の都合で決めるべき。
人間の記憶は連想による部分が大きく、一度詳細に読み込んだことがあるコードであれば、概略を読んだだけで詳細を思い出せることが多い。結局、構造化プログラミングというか、本の目次のようにコードを書くことが大切ですね。
第14章 エレガントなコードはハードウェアに合わせて進化する:ガウス消去法の場合
効率的なアルゴリズムというのはコンピュータのアーキテクチャに依存するが、可読性とのせめぎ合いもある。
私はアプリケーション寄りの人間。ハードウェア(コンピュータアーキテクチャ)の違いは基本的にはOSで、足りなければフレームワークやライブラリで吸収しておいて欲しいものです。但し、OS/フレームワーク/ライブラリを選定する能力は必要ですが。
なおアプリケーション側でも、ハードウェアを意識していないと非常に非効率になることはあります。そのときは、第5章にあったように、正しく->美しく->速く で最後に計測しながら考える(もしくは得意な人にお願いする)のが私の道でしょう。
第15章 美しいデザインの長期にわたる恩恵
美しいコードと美しい数学とは、必ずしも同一物ではない。メモリが無限にあり処理速度も無限に速いことを前提としたコードは横柄ですらある。
コードの究極の目的は使われることなので、芸術作品と同様に、時間の試練に耐えたものこそが美しいと言える。
数年〜数十年以上使い続けられているコードはそれほど多くない?
第16章 Linuxカーネルのドライバモデル:一緒に働くことの恩恵
C言語でオブジェクト指向。
優秀な開発者たちが強調し、必要に応じて反復的に開発してきたため、多くの問題を解決する美しい共通解となるコードができたということ。
第17章 もう一段の間接参照
C言語でオブジェクト指向その2。
「コンピュータサイエンスにおける問題の全ては、もう一段の間接参照によって解決できる」が、「たいてい、新たな問題が作り出される」とのこと。
間接参照による抽象化で柔軟に情報を構造化できると読む。間接化による時間的・空間的オーバーヘッドは、殆どのケースでハードウェアとコンパイラの性能で解決できる。しかし、ソースコードの理解し易さを妨げる可能性があり、過剰な間接化は避けるべき。
第18章 Pythonの辞書実装:すべての人々にすべてのものであること
CPythonの辞書は言語機構の土台で、クラスやインスタンスの属性値や、関数呼び出しのキーワード引数を格納することにも使用されている。
辞書の実装では、ハッシュ表の大きさやその変更、ハッシュ値の衝突など、様々な点で最適化が行われている。但し、最適化は基本的にはアルゴリズムに関するものであり、全体としてとて素直な実装になっている。
第19章 NumPyの多次元イテレータ
Python続きですね。NumPyはPython言語のオプションパッケージで強力なN次元配列オブジェクトが提供されています。メモリ上で不連続な配列も扱えます。
NumPyイテレータにより使用する配列が連続か否かに関係なく、連続した配列と同様のコードが使えて、それでいて常に十分高速なコードが得られる、ということ。
各次元毎にストライドを設定出来るのが面白いです。
第20章 NASAの火星探査機計画のための高信頼エンタープライズシステム
巨大アプリケーションでは常に、成功の鍵はコーディングではなく統合にあるということ。標準コンポーネントを粗結合で使うこと。
巨大なアプリの美しさは、必ずしもエレガントなアルゴリズムにはないということ。
熟練開発者のスキルの1つは、何をハードコーディングし、何を開始時にロードするパラメータとするのが適切なのかを見極められること。
第21章 ERP5:最高水準の適応性に向けた設計
プロセス中心やデータ中心ではなくドキュメント中心のパラダイム。全てのビジネスプロセスは一連の文書を作り出すことを通じてその目的を達成する?なんかちょっと官僚チック?
既存のビジネステンプレートを土台にして、GUI要素を取り替え、ワークフローを調整するだけで、新しいビジネステンプレートが作れる、ということかな。ERPの開発・運用のイメージが描けていないので消化不良。
第22章 スプーン一杯の汚水で
Solarisのカーネルメモリアロケータとゼタバイトファイルシステム(ZFS)間のやり取りにおけるブロッキングチェーンで生じる問題について(むずっ)。
ある問題を、こうすれば動くのでは動くのではないかという形ではなく、こうだから動かないという形で分析して解決する能力、つまり境界条件に注目する能力が大切ということ。なんか犀川創平氏を思い出しました。
どんなに格好の良い(ように見える)設計・実装(=樽一杯の高級ワイン)であっても、(難解で)致命的なバグが1つ(=スプーン一杯の汚水)存在すると、それは樽一杯の汚水になるので、全部捨ててやり直しになるというのが題意。
ふ〜っ。ということで、残り3分の1、がんばりましょう。
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