しかし、教養の定義は曖昧です。人間性や行動の品格までをもその射程に置く言葉です。ここでは、道徳面には踏み込まずに、ITエンジニアにとっての実利という観点で、教養とは何かについて、考えてみました。
(1)ストックとしての教養
(a)深い知識(b)広い知識
(2)フローとしての教養
(a)継続学習への意欲(b)新たな知識を生み出す力
(1)ストックとしての教養
(a)深い知識
- 自らの専門分野について体系立った深い知識を有していること
- ドイツの影響を受けた旧帝大系の教養。
- ITエンジニアにとっては、ITやプロジェクト管理の知識
(b)広い知識
- 専門分野に関係なく、科学・文学・音楽等の幅広い知識
- 所謂リベラルアーツ、アメリカ的教養、旧制高校的教養
(2)フローとしての教養
(a)継続学習への意欲
- 学び続ける力。
- 知的好奇心、無知の知、好きこそものの上手なれ
- この宇宙の全知識をストックすることはできない
- その時々で必要な知識を学び続ける必要がある
(b)新たな知識を生み出す力
- 特定の問題を解決するために知識を現実世界に適用する
- 知識を深める新たな発見をする
- 既存知識体系の溝や矛盾を乗り越えるパラダイムを考案する
- 複数分野の知識をマッシュアップして、新しい応用を行っていく
- 暗黙知を形式知に転換する
- ITエンジニアで言えば、
- プロジェクトの問題を分析して改善策を考える
- プロセスをカスタマイズして適用する。
- 成功・失敗事例をポイントを捕らえてドキュメント化する
- 顧客の要求を実現するための技術の組み合わせを提案する
- etc...
まとめ
ストックとしての知識がなければ、新しい知識を生み出すことは非常に困難です。さらに知識はどんどん陳腐化していくので、常に学び続ける必要があります。教養人目指して頑張ります。参考図書
「グロテスクな教養」高田里惠子(ちくま新書)
「大人のための『学問のススメ』」工藤庸子、岩永 雅也(講談社現代新書)
「教養主義の没落―変わりゆくエリート学生文化」竹内洋(中公新書)
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