2012/02/05

「新ネットワーク思考」と「エピデミック」

BeautifulCodeとRESTful元号が滞っていますが、それとは別に大量にある積ん読本の解消を少しずつ進めようかと(^▽^;)。

ということで、「新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く」アルバート・ラズロ・バラバシ(NHK出版)(初版2002年12月26日)を読了しました。
全般的にデジャヴ感があったのは、「日経サイエンス」2003年9月号の記事「世界の“なぜ”を読み解く スケールフリーネットワーク」を読んでいたからでしょう。こちらは同著者のA.-L.バラバシ氏とE. ボナボー氏の共著です。
ざっくり抽象化すると、静的な要素還元主義だけでは色々と行き詰まりが出てきていた状況を、動的な関係性のトポロジーという新しいモデルで打破しようということですね。ロングテールとかウィルスマーケティングとか「ブラックスワン」とかの背景理論にもなっています。
ネットワークモデルの特徴を簡単に表にしてみました。
不慮の事故/故障には強いが攻撃に弱いというのが、WWWなどのスケールフリーネットワークの重要なポイントかと思います。

続けて「エピデミック」川端裕人(角川文庫)(単行本初版2007年11月)を読了。新興伝染病のアウトブレイクを制圧する疫学ミステリィ小説です。
伝染病の拡大規模によって エンデミック(endemic) -> エピデミック(epidemic) -> パンデミック(pandemic)と出世魚のように名前が変わるようです(Wikipediaの「伝染病」の項目参照)。アウトブレイクは、エピとパンの間くらいでしょうか?
たまたまですが、伝染病の広がり方が、ズバリ、成長と優先的選択をともなうスケールフリーネットワークです。ノード(罹患者/動物、保菌者/動物)、リンク(感染経路)、さらには運ばれるもの(ウィルス)も不明確な状態です。障害耐性は強いので、放っておくとどんどん広がります。しかし主要なハブに対する攻撃には弱いのでスーパースプレッダー(毒王)を隔離して、感染経路の「元栓」を閉めることで沈静化します。
その「元栓」探しが探偵小説になるのですが、「確率密度の雲のなかで持ちこたえる」という量子力学的(?、電子の雲からの連想。多分カオス的とか複雑系的という形容の方が正確なのでしょうが)なスタンスが良いですね。
なお、舞台となる(人間を含めた)生態系もスケールフリーネットワークと考えられています。

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